ほくろの病理を語る上で、もうひとつ忘れてはいけないことがあります。ほくろは漢字で黒子と書かれることがありますが、皮膚科分野での黒子と使う時は単純黒子のことを言いますので、一般のほくろとは少々ニュアンスが違ってきます。
この単純黒子は、名前は黒子(ほくろ)なのに一般的なほくろにある母斑細胞の増加がなく、表皮メラノサイトの部分的な増加により、膨らむことなく平らに黒い部分ができたものが単純黒子の正体となります。
母斑細胞性母斑のような腫瘍性変化よりも、色素性変化が強い状態ですので、膨らまずにペタッとした外見です。
普段の診療でも時々、単純黒子がありますが、母斑細胞性母斑に比べるとはるかに頻度は少ないです。単純黒子はその由来どおり浅いほくろですので、処置の時に比較的簡単に凹みを残すことなくとることが可能となります。